「分かったでしょ?あんたに天使の仕事は無理。早いうちに諦めなさいよ。」

鏡華さんはお会計を済ませる為に席を立ちました。

「……?何してんの?」

僕は席を離れませんでした。

だって納得がいかなかったから。

「何よその目は?何か言いたいことがあるなら言いなさいよ。」

僕はじっと鏡華さんを見つめていました。

「怖いですよ?そのおじさんの顔も、色んな悪いことしてきたことも怖いです。」

「そう、なら――」

僕は思うんです。

神様から聞いたわけじゃないけれど、こうして浄化依頼が来るということは、その人には改心の余地があるのだと。

「それでも、僕はこのおじさんが反省をしてくれるのなら依頼を受けます。」

鏡華さんはほんの少し驚いた顔をして、またギッと僕を睨み付けます。

「――っ。あーもう!本当にイライラするわあんた。勝手にしなさい。もう時期あんたにも次の依頼が来るわ。じゃあね!!」

鏡華さんはレジにお金をピシャリと置いて去っていきました。

「……あ、ごちそうさまでした。って言えなかった。」