「ここだけの話だけど、礼雄はのんちゃんのことが好きみたい。
そう、今でもきっとね」
そう言って礼雄くんを見つめた恵ちゃんの表情はどこか寂しげで、でも何故か輝いているように見えました。
「恵ちゃんは礼雄くんのことが好きなんだね」
「へ?」
にこっと笑った僕を、目をいっぱいに見開いて見る恵ちゃんの頬が赤くなっていました。
「そ、そそそ、そんなんじゃないから。あいつは只の幼なじみで、だから、その……
うーー……新田くんのバカー!」
「あはははは、ごめんごめん」
閉じていた教科書を開いた恵ちゃん。
だけど朝の会が始まるまでに、そのページがめくられることはありませんでした。