公園の真ん中にある池の端に、丸太で出来た建物があります。

中はベンチが四方にあるだけの簡単な作りで、ジョギングの休憩などに使う人が多いようです。

「あ、昨日はケーキごちそうさま。一真くんも食べた?」

「あ、うん。あれ僕が小さい時からたまにお母さんが買ってきてくれるから」

「良いお母さんだもんね」

そう言って僕が笑うと、一真くんは目を伏せました。

「……ごめんね僕あんまり頭良くないから直接聞くことしかできないんだけど。

どうして学校に来たくなくなっちゃったの?」

一真くんは自分の手を見つめています。

そして小さな声で話し始めるのです。

「学校に行きたくないわけじゃないよ。小学校はそれなりに楽しかったし……」


「だったら……」

「分かんないんだ。いきなりお腹が痛くなって何日か休んだら、なんだか教室に行くのが怖くなっちゃって……」


一真くんはゆっくりと立ち上がり、大きく息を吸います。

「今はね殻の中にいるんだ」

「殻……?」