恵ちゃんはこう続けました。
「私はお母さんが居ないから自分がどう思われているのか分からないですけど……
親と子だって別々の人ですよね?何から何まで分かっていなくちゃいけないなんてことは無いと思うんです。
逆にもし自分は子供のことを全て分かっているなんて言う人がいたら、そんなのは強い思い込みじゃないですか?」
ちょっと沈黙が続いて恵ちゃんが小さく「ごめんなさい」って言いました。
すぐにお母さんが首を振って「ありがとう」と言いました。
そして僕はこう切り出します。
「一真くんの部屋に行ってみても良いですか?声だけでも聞けたら嬉しいんですが」
お母さんは頷いて立ち上がりました。
「一真もきっと喜ぶわ。こんなに素敵なクラスメイトが来てくれて」
僕達は照れくさくなって笑いました。