美味しいミルクレープに恵ちゃんがうっとりと頬堤を打っています。
「あの、どうして一真くんは学校に来なくなってしまったんですか?」
直球過ぎたかな?
お母さんは表情を変えないで僕のことを見つめています。
「……どうしちゃったんだろうね。親がこんなこと言っちゃったら失格なんだろうけど、分からないのよね。
本人もいじめは無かったと言っているし、学校の先生もクラスの子も無かったって言ってくれたわ。」
お母さんは湯気の消えた紅茶を一口ふくみます。
「勉強も遅れていたわけじゃなかったし、あの頃は友達だっていた……
小学5年生になってから急に学校に行きたくないって言い出して。お腹が痛いって言うからお医者さんに連れていったんだけど異常はないって言われて……
ダメだね。親なのに一真のこと何も分かってあげられていない」
「……何でも分かってあげてなくちゃいけないんですか?」
恵ちゃんの言葉にはっとさせられたのは僕だけじゃなかったはずです。
お母さんも恵ちゃんを見つめていました。