その放課後。
僕と恵ちゃんはチャイムが鳴るとすぐに教室を出ました。
「休み時間にね、野村くん家の場所聞いてきたんだ」
「うわぁ、さすが恵ちゃん!僕これから先生に聞きに行こうと思ってたとこだったのに」
恵ちゃんは「へへっ」と笑いながらピースサインをしました。
「学校からあんまり遠くなかったよ。迷ったりしなければ20分くらいで着くと思う」
下駄箱に上履きを入れて、靴を履きます。
「そっか。楽しみだな一真くんと会えるの」
僕がそう言うと恵ちゃんは僕のことをじっと見つめます。
「えっ、なに?」
「ううん。新田くんて本当に優しい人なんだなぁって思って」
「えー、そうかな……だったら恵ちゃんだって優しいと思うけど」
下駄箱で2人で誉めあっちゃったりなんかして、僕達は可笑しくなって笑いました。
「じゃあ、いこっか」