一真くんはちらりと僕の顔を見ます。

「おはようございます。えっと……その。よくお会いしますね」

一真くんは両腕を後ろで組みながら、少し俯きます。

「朝のお散歩って気持ち良いですよね。僕、最近始めたんですけど大好きになっちゃいました」

にこっと笑う僕。

一真くんはそれを見て、少しだけ笑ってくれました。

「あ、えっと……じゃあ、さようなら」

そう言ってまた足早に去っていく一真くんを見送ります。


「一真くん笑ってくれた」

初めて見る一真くんの笑顔に僕は嬉しくなりました。

もっと一真くんと話をしてみたい。

一真くんと一緒に散歩ができたらいい。

できれば一緒に学校に行きたい。

今はまだ一真くんは僕がクラスメートということも知らないけれど、いつか一緒に机を並べたいと。そう思いました。