どれくらいそうしていたのだろう。
あたしはずっとぼんやりしたまま
鏡の中のあたしを見つめていた。
ふ、っと気がつくと
壁の時計は
もう塾へ行く時間を差していた。
あたしはあわてて
おろした髪をブラシで梳かし
なんとか普通に見える程度に整えて
制服から普段着に着替えて
かばんに塾の用意を詰め込んだ。
塾までの道のりを自転車で走っている間中ずっと
リュウイチ先生の顔が
あたしの心の中に浮かんでは消えていった。
あたしのこの髪型を見て
先生はなんて言うだろう
そんなことを考えながらも
先生に会うのが気恥ずかしくもあった。
それでも生まれて初めて
自分の意思で髪型を変えてみると
今までより少しだけ
自分の人生を
積極的に生きていけるような
そんな気持ちになっていた。