やり直そう?
彼女ができたから連絡してこないで?
それとも…
いろんな考えが頭をよぎる。
でも私が望んだのは『会いたい』の言葉。
憎んで別れたわけじゃない。
確実に高揚した私の顔は、笑みを隠せないでいる。
期待が私の体に渦巻いている。
『ヴーヴー、ヴーヴー』
再び携帯がバイブし、私は研究室を飛び出した。
後ろから椅子が倒れる音がしたが、
今はそれどころじゃなかった。
「もしもし・・・・」
高揚を悟られないように、
落ち着いて、
慎重に。
「奈美さん?お久しぶりです。」
声は男ではなかった。
丁寧な言葉遣いで歳は50位の淑女という印象だった。
「敏子おばさん・・・?」