「やっぱり…」




春坂吏明…だった。




「春坂吏明??」



俺は、彼女の目の前へ


走って行き、

そう尋ねた。




彼女は、きょとんと
している。



「何方様ですか??」



…やっぱり覚えてないか。



「もしかして、俺のこと…知らない??」

「はい、全く」


とりあえず、
名前を言ってみよう。


「俺、夏川和希」


「あぁ…はい…」



彼女は俺の横を

すり抜け、

歩きだした。



−ガシッ…


俺は、彼女の腕を
掴んだ。