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暗闇の中、何台ものヘッドライトが俺たちの横を通り過ぎた。






あの光は、俺たちをどんな風に映しだしているのだろう……――





部屋で話していた俺たちだが、ふと思った。





ハルは絶対に聞いている。





俺は、場所を変えようと言った。





そのまま外へ出た俺たちは、話しをしながらあてもなく歩いている。





『早坂さん、じゃあ、あの横断歩道では私のこと気づいてたんですね……

だったら、どうして……』





声が少し震えている。





「あぁ、アレ、おまえお母さんと一緒だったろ?

俺が話しかけたりしたらまずいかなぁ、って思ったんだけど?」






『ふぇっ?それだけ……!?』





「うん。それだけ」





沈黙がおとずれた。





そのこと、そんなに気にしてたのか……




『良かった。
もう、話しかけても……
くれないんじゃないかって……
すごい、悩んで…』





声の色が変わった。
満面とまではいかないまでも、久しぶりに見た笑顔。




笑顔から零れ落ちた大粒のしずく。





きれいだと思った。






このまま写真に焼き付けたいと思った。






もう、自分の気持ちはごまかしきれないと思った……――。