池田さんと別れて家路につく。
本当は、池田さんに心療内科を紹介するつもりでいた。
だけど、あの母親の表情を見たら、きっと大丈夫だと思った。
誰かに止めて欲しかったんだ……それだけのこと。
『私、心療内科の先生に電話いれときますね?』
「あっ、お願いします」
問題は解決したのに、なんだかスッキリしない。
会いたい。
あいつの顔がみたい。
無性にみたい。
池田さんのことが消えたら、あいつの顔しか浮かばなくなってしまった……――
―信号は赤―
‘止まれ’ってことか?
9コも下なガキなんだぞ?
俺、犯罪?
俺なんかでいーんか?
できれば今のタイミングで‘赤信号’はやめて欲しかった。
“やめとけ”って言われてるような気がした。