「何だかんだで、一条には脅されて。

お父さんは今までずっと梨乃のために頑張ってくれた。
そして今に至るまでに何度も苦労してきた。

そんな苦労を梨乃のせいで水の泡になってほしくない。


一条なんかに潰させてたまるかって、思ったの。
だったら、次は梨乃が会社を守らなくちゃって、思うじゃない..............。




それでハワイに行って
全てを諦める決心をしたの。



そして帰国してから
婚約を─────許可した。


そしたらね?
案の定一条は満足そうだし
お父さんは、喜んでくれた。


これで会社が安定することは決定した。






でもそんな事実を
愛純たちには知られたくなかったの。



こんな話したら、愛純って絶対助ける!とか言い出すでしょ?
そんなことして欲しくないの。
嬉しいんだよ?
気持ちは嬉しいけど................。



何か一条の気に障る事でもしたら、愛純の身に何が起こるか、わからないでしょっ.............?

いいの
誰かが傷つくくらいなら.................。簡単だよ?
喜んで婚約する。

傷つくのはね?


梨乃1人でいいの。」