すると、また口を開き始めた。
「婚約の話を申し付けてきたのはあっち。一条なの。
もちろん梨乃は断った。
お父さんも嫌ならいい。と言ってくれたし。
ちなみに、一条はついこの間まで敵視してて。
で、ある日言われたの。
一条は、梨乃と婚約しないと、他の会社と合併して潰す、と。
最初は梨乃もありえない、と思った。
だから、お父さんにも報告する必要は無いと思っていたし。
自分で言うのもなんだけど、すっごく大きい会社だし、最近は安定してて、売り上げも伸びているし。
でも一条はどんどん規模を広げていったの。
お父さんがある日言ってた。
この先ずっと一条を敵に回していたら危ないかもしれないって。
初めて弱音を吐いたの。
梨乃の前で直接言っていたわけじゃないけど、社員さんと話しているのを偶然聞いちゃったの。
花井にもいろいろ一条のことを調べ上げてもらった。
そしたらすごくヤバイ事実が判明したの。
一条は、暴力団とも関係しているってコト。
それを知ったとき。
一条を調べていたことがばれちゃったの。
で、
一条がこれを他言したら
梨乃の大切な人を失う、と。
一条は本当に不思議な男なの。
だから何するかもわからない。
花井はこれをお父さんに相談をしようといったけど、私は止めたの。
大切な人を失いたくない。
だから
2人だけの秘密にしよう、って。
もし、警察にでも連絡して一条が今までしてきた悪意がバレて捕まる。それに、その暴力団の全員が捕まるにしてもすぐに全員を捕まえることなんかできない。
そしたら、そのうちに梨乃の大切な人が失われたらって思ったら、怖くて............。」