「あれ、おかしいな。」
集中しようと意識を高める。
するとますます集中出来なくなる。
気がつくとペンを握る指先が震えていた。
ヤバい。
死の恐怖で集中出来ない。
その死から免れるためには勉強しなければいけないのに。
矛盾に苛つきながら、俺は何度も頭から恐怖を振り払おうとした。
だが既に泥沼にはまっている事を、俺は気付いていなかった。


翌朝、リビングへ降りると、家族が朝食を食べていた。
いつもと違う視線を感じた。
両親も兄も、俺を哀れむような目で見てくる。
恐らく昨日、例の発表を知った上での態度だろう。
俺の死を確信しているのだ。
そこには今まで以上に大きな壁があった。
誰とも会話を交わす事なく、俺は家を出た。