『試験を開始して下さい』
アナウンスが流れた。
周りにいる大勢の人間が一斉に紙を捲り始めた。

ヤバい!

俺はハッとして紙を捲り、試験を開始した。

何だこれ…

額に汗がどっと滲む。
「解んねえ」。

学校の試験とは違う、心理テストのような問題の数々。

様々な立体。

数字の羅列。

頭がおかしくなってくる。
まずは落ち着く事だ。
しかしそれが出来ない。

どうする?

汗が溢れてくる。

こうなったら、隣の奴のを見るしか…

そっと目をやったその時だった。

「お前、何してる!」

男の怒鳴り声がした。
心臓がドクンと波を打つ。

「違う、俺は何もしてない、放してくれ」。

続いて情けない声。
後ろの誰かがカンニングして、見つかったのか。

「死にたくない、助けてくれ頼む、嫌だ…」。

声が遠ざかって逝く。
恐怖で振り向く事も出来ず、俺は盗み見る事をやめた。