「茄亜子ちゃんは木蓮が好きなの?」
そう問うと、茄亜子ちゃんはがたんと机を揺らした。
「あったりまえじゃないですか!!!
じゃなかったらこんなに熱くなりません!!」
そっそうだよね・・。
でもやっぱりうれしいな・・・。
あたしの作る着物のことを好きになってくれるなんて。
「なあ、木蓮の着物は雛菊屋に売っていたものしか持ってないんです」
あっ。
そうだよね。
あたしが出してないから。
「きっとデザイナー様にもいろいろ理由があると思うんです。
でも・・・。
一ファンとしては・・・。
もっと木蓮の着物がほしいな~とも思います」
この時初めてわかった。
美和が雛菊屋に着物を卸すことを
勧めた訳が・・・。