だからあたし、思うんだ。



「たとえ、あたしの御祖父様が素晴らしい人でもあたし自身が技術を持っていなければ意味ないよ」



これはあたしがいつも思っていること。



「きさららしいね。
そんな心だからいい着物が作り出せるのね」



ちょっと、照れくさいよっ。




「そういえば、きさらこの前『雛菊屋』に着物卸したんだっけ?」


あっ!!

そうだった。


「うん。
でも一種類だけだよ?」


はあ!?
って顔になる美和。



「その一種類が大変なことになってるんでしょ!?

社交界ではちょっとした社会現象になったのよ!?」