画面が切り替わり、夕陽に照らされた廊下が映し出される。これが舞台となる学園なのだろう。
『放課後、ひとりで廊下を歩いていると、向こうから女の子が両手いっぱいにプリントを抱えて歩いてきた。プリントは女の子の胸よりも高く積み上げられ、いまにも崩れそうだ――』
 表示される文章を目で追う。ありきたりな展開だな、と思った。
 主人公の前まで来たところで、案の定その少女は手を滑らせて抱えていたプリントを落としてしまった。
 プリントを拾ってあげるか無視して通り過ぎるかの選択肢が表れ、ボクは深く考えることなく拾ってあげる方を選んだ。ゲームのなかでくらい積極的に女子と関わりたい。
 廊下のグラフィックから慌ててプリントを拾う少女のグラフィックに切り替わり、そこでボクは思わず息を飲んだ。
 艶やかな黒髪に大人びた顔立ち、抜群のプロポーション。少女は芳野麗子にそっくりだった。