「どうした…?」

「なんでも…ない」


肩に触れられ
ビクッと体を震わせる私を
変に思ったのか
上杉君は体を起こし
私の顔を覗き込んできた。


「どうして俺のこと見ねぇんだよ」

「……」

「美羅!言いたいことあんなら言えよ。
俺と、こうなって後悔してるのか?」

「違う!違うよ…」

「じゃあ、なんだよ」

「…私と上杉君…
これからどうなるの?
別れるの?」

「はぁ?」


突然、別れを口にした私を
上杉君は激しく問い詰めてきた。
怖かったけど
彼の本心を知りたかった私は
渋々、智可に聞いた
あのことを上杉君に話した…


「…それで、美羅は
その話し…信じたわけ?」


上杉君は力無く呟くと
深くため息をつく。


「それは…」

「信じてもらえなかったんだな…」

そう言って
寂しそうに宙を見据える上杉君


「ごめん…
でも私、不安だったの…
なんのとりえもない私だもん。
上杉君に飽きられるじゃないかって…」

「美羅…」


聖斗の時みたいに
上杉君が離れていくのが怖かったんだよ…


「誰があんな噂流したかしらねぇけど
俺はその年下の子とは
付き合ってない。

毎日、登下校待ち伏せされて
勝手に俺の周りを
ウロチョロしてただけだ…

その内、俺たちが付き合ってるって噂になって
否定するのも面倒だったから
そのままにしてた。

まぁ、クドいくらい
付き合ってほしいって言われてたのは事実だけど
俺はそんな気
さらさら無かったんだよ。

それで、アイツが自分の誕生日に
会ってくれって…
俺が来るまで
ずっと、待ってるって…

電話が何度もかかってきて
その度、俺は行かない。
お前も帰れって言ったんだ。

その気も無いのに
行けるかよ…
行けば期待を持たせることになるだろ?
そっちの方が残酷だ…
だから俺は、行かなかった」