「んっ…っ…」


次の日、目が覚め
胸の辺りに布団とは違う重みを感じ
瞼を開けると


まだ私の体を抱く様に眠っている
上杉君の顔が
すぐそこにあった。


天窓から差し込む自然光が
一筋の帯となり
絨毯の上に置き去りにされた
あの、ルーズリーフを白く照らしている…


すっかり明るくなった部屋


昨夜のことが
まるで夢の様…


でも、今尚、残る
下腹部の鈍い痛みが
この体に刻み込まれた
愛し合った記憶を
蘇らせる…


お腹に手を当て
大きく深呼吸してみる。


ここで
彼の愛を受け入れ
彼を感じた…


後悔は、ない。


私は少し大人に近づけた気がして
嬉しくて
上杉君の長い前髪を
そっと、持ち上げ
眠ってる彼に微笑んでみせる。


「大好きだよ…上杉君」


でも、その時
智可の言ってた言葉が思い出された。


"1回エッチしたら、興味ない…"


「……」


もしかして…私も…


さっきまでの幸せな気持ちが
一気に暗くなる。


そんなこと、ないよね…


不安が胸の中で渦巻き
どんどん大きくなる…


「あぁ…うーん…」

「…上杉…く…ん」


目覚めた彼の顔を見ることができない…

私は、とっさに寝返りをうち
上杉君に背を向けた。


「美羅?」


怖い…