「そう言われれば…
そうだよね…」

「美羅、智可のお兄さんはね
医学部なのよー
頭いいんだからー

その、聖斗君って人も
まさか…医学部?」

「うぅん。
聖斗は薬学部。
伯父さんは薬局してて
後を継いで薬剤師になるんだって」

「ふーん…
2人共凄いお兄さんとイトコが居て
いいなぁ~」


恵美里は頬を膨らませ
面白く無いって顔して
そっぽを向く。


「…智可…それで、聖斗は
私のこと
なんて言ってた?」

「美羅のこと?」


どうしてだろう…
聖斗が私のことを
他人にどう言ってたか
凄く気になる…


「美羅のことねー…
妹みたいに可愛い子とか言ってたかな…」


妹みたい…


聖斗は、もうそんな時から
私のことを妹と思ってたんだ…
私一人が
聖斗の言葉を信じて、想い続けていた…


バカみたい…


裏切られた様な気分
遣る瀬無くて
愚かな自分に腹が立つ


「智可、恵美里…」

「んっ?何?」

「私、週末、上杉君の家に行く…
泊まりに行くよ…」

「ち、ちょっと、急にどうしたの?美羅」

「もう決めたから…
恵美里の家に泊まるってことにしてくれる?」

「それは…いいけど…」


突然の私の決断に
戸惑う2人を見送り
私は家へと帰る道すがら
上杉君の携帯に電話した。


「上杉君…
私、泊まりに行くから…」


彼は一言
優しい声で『分かった』そう言ってくれた。


もう、迷いは無かった…


私と聖斗は
ただのイトコ
私は聖斗とは違う人を選んだんだ…