言葉すら出なかった私は、ずっとその場から動けないでいた。


ただ彼が事故に遭ったのを間近で見てしまったせいで……私は一人、放心状態になっていた。




動きたくても動けなくて、どうしたらいいのかもわからなかった。


気が付いたら誰かが救急車を呼んでくれたみたいで、陸が病院に運ばれて行くのがわかった。




でも私はそこから一歩も動けなくて……陸の顔を見ることすら出来なかった。


放心状態になっていた私に、誰かが"大丈夫?"と声を掛けてくれた人も居た。



……でもその時の私には、そんな声すら聞こえなかった。


頭の中を支配していたのは、あの時の光景だけだった。