"ビューッ"


冷たい風で、辺りの落ち葉などが吹き飛んでいく。




「……寒いっ」


その日の気温は、真冬の日と同じだった。




「これじゃあ……秋じゃなくて冬だよっ」


もう、寒いし冷たいし。




「はあ……」


ため息を付くと、息も真っ白だ。




「……早く帰ろう」


ベンチから立ち上がって、そのまま歩き出した時……。




「あのーっ」


と声を掛けられた。




「……はい?」


私は後ろに振り返った。




「これ、落としましたよ。あなたのですよね?」


「え?あっ、はい」