「……うん」


真由子は小さく頷いた。




「伊吹先生が好きなんだったら、自分の気持ちを正直に伝えなさい」


「葉月……」


「わかった?」


「……うん」




真由子は私をジィーッと見つめて頷いた。


そんな真由子に、"よし"と呟いてから真由子の頭を撫でた。




「……葉月は、好きな人居ないの?」


真由子は首を傾げた。




「え?……あっ、うん」


「ふーん」




だけど……こんな私にも、"たった一人だけ"大好きだった人が居た。


……でもその人との別れはあまりにも突然で、悲しい出来事にしかすぎなかったんだ。