「伊吹先生、好きな人居るんでしょ?……それじゃあ勝ち目ないじゃん。伊吹先生の好きな人、きっと私より可愛くて美人な人に決まってるよ」


真由子はそう言うと、唇を尖らせた。




「……真由子、なに弱気なこと言ってんのよ」


「え?」


「伊吹先生が誰を好きだろうが、真由子には関係ないでしょ。真由子は先生が好きなんでしょ?だったら、今一番大事なのは自分の気持ちでしょ」


「……自分の気持ち?」


「そっ。伊吹先生に好きな人が居るんだったら、自分の気持ちを素直にぶつけなきゃ。……じゃないと先生、ほんとに好きな人の所に行っちゃうよ。それでもいいの?」




不思議そうな顔をして私を見つめる真由子に、私は言い聞かせるようにそう言った。