「……先生」


私は伊吹をジィーッと見つめた。




「ん?」


「……ありがとう」


「え?」


「……私がツラい時、そばに居てくれて」




伊吹先生のその優しさが、私にとって嬉しかったんだ。


……すごく温かかったんだ、先生のそばにいると。




「……葉月」


伊吹が私の小さく名前を呼んだ。




「……本当に、ありがとう」


伊吹先生が居てくれたおかげで、今なら前に進めそうな気がするよ。




「……ああ」


それにね。……今なら私、自分に自信が持てるような気がするんだ。




陸のことも……忘れられるような気がする。