「真由子、悪いんだけど先に教室戻っててくれる？……ちょっと用事思い出したから」


「え？あっ、うん。わかった」




私は"すぐ戻る"とだけ伝えて、急いで走り出した。


……なんかわかんないけど、今無性に伊吹に逢いたいんだ。




なぜだかわからないけど……今すぐに伊吹の優しさに甘えたい自分が目の前に居るんだ。


早く"葉月"って呼んで欲しいんだ。




「……伊吹先生っ！！」


……早く伊吹先生に笑顔を向けて欲しいんだ。




「ん？なんだ葉月じゃないか。……どうしたんだ？」


伊吹が不思議そうにそう言った。




「……先生」


逢いたかったよ。