「……葉月さん」


陸のお母さんは泣いていた。




「……だから陸のことは、もういいんです」


私はそう言って俯いた。




「……そうよね。陸はもうここには居ないんだもの。いつまでも陸のことを想っているのはツラいわよね……」


陸のお母さんはそう言うと、ハンカチで涙を拭った。




「……すいません」


私もずっと涙が止まらなかった。




「いいえ。……もういいのよ。いきなり押しかけてきてしまってごめんなさいね。……私はこれで失礼します」


陸のお母さんは涙を流しながらそう言うと、私に軽く頭を下げてから家を出て行った。




……ごめんね、陸。


ほんとにごめん。