「お前と陸が恋人同士だってことには正直びっくりしたけど……陸が死んだのは、お前のせいじゃないんだ。だからもう陸のことはいいんだ」


伊吹先生はそう言うと、私をジッと見つめた。




「……先生」


伊吹先生は、今までに見たことのないような表情をしていた。




「……もう、いいんだ」


伊吹は小さくそう呟くと、空き教室を出て行った。




「……はあ」


この時から私は、伊吹先生に対してなにかが変わっていた。




あんなに大っ嫌いだと思っていたのに……今はあんまり嫌いだとは思わない。


むしろ優しいなあと思うようになった。