「……え?」


予想外のことを言われた私は、ゆっくり顔を上げた。




「お前、なんで陸を知ってるんだ?」


伊吹が私を見つめてそう呟いた。




「……先生も、陸のことを知ってるの?」


私は開いた口が塞がらなかった。




「知ってるもなにも、陸は俺の教え子だったんだ。……塾でクラスを持ってた時の」


……予想もしていなかった事実に、私はただただ目を見開くことしか出来なかった。




「まさか葉月が、陸のことを知ってたなんてなあ……」


伊吹はそう言って力なく笑った。




「……私、陸とは恋人同士だったんです」


気付いたら、そう打ち明けていた。