「……ごめん」


「謝るくらいならしないでください。……失礼します」




私はそう言うと、そのままカバンを持って図書館を飛び出した。


……でもそこで、私はとんでもないミスを犯してしまっていた。




そのせいで伊吹に陸のことが知られてしまうことになるなんて……私はまだ気付いていなかった。


……と同時に、伊吹の過去も知ることになるなんてことも。




「……はあ」


空き教室に逃げ込んだ私は、息を整えてカバンをギュッと抱え込んだ。




「もういやっ……もうこれ以上、陸のことを思い出したくないよぉ」


それなのに、なんでこうなるの……。