私はそう言うと、"はあ"とため息を零した。




「俺はただ、好きな女のそばに居たいだけだ」


伊吹はそう言うと、私をギュッと抱き締めた。




「っ?!……いやっ!!はっ、離してくださいっ!!」


私は伊吹からムリヤリ離れた。




「……葉月?」


……ふと陸のことを思い出した。




抱き締められた時、ふと思い出した陸のニオイ。


……そして陸の温もり。




「……お願いだからもうそういうことしないでくださいっ!!……迷惑なんです」


もうやだっ……もうこれ以上、陸のことを思い出させるのはもうやめて。




もうすぐ、陸のこと忘れられそうなのに……。