「……葉月、おはよう」


教室に入り、席に着くと真由子が私の所にきた。




「うん。……おはよう」


私は小さな声で呟いた。




「……大丈夫?」


真由子が心配そうに私を見る。




「……うん」


あの日私は、今までにないくらいたくさん泣いた。




陸と逢うのが寂しいからでも、陸を忘れるのが怖いからでもない。


……今までずっと一時も陸のことを忘れたことはなかった。




そばには居ないけど、陸はいつも私の心の中で生きていた。


どんな時も陸が心の中に居たからあんまり寂しくなかった。




……でも陸がもうそばに居ないとわかった時、急に寂しさと切なさが込み上げてきた。