「ただいま。」

そう言って中に入ると、めずらしく日悠が帰って来ていた。


「遅い。どっか行ってた?」

遅いって……お兄ちゃんみたい…。


「ごめん、ちょっと家に用事があったから…。」

日悠は「ふーん。今度から連絡入れろ。」と言って、キッチンへ向かった。


もしかして…心配してくれた?

何だか嬉しい…。お兄ちゃんに心配してもらった時とは違う感情。

「ごめん。」

「腹、減ってね?」

「あーうん。ちょっとね。」

あたしがそう言うと、日悠は、さっと、シチューを出してきた。

「嘘…日悠君が作ったの?」

「まぁ…。」

またみんなが知らない日悠を知れた。

…なんか…あたし喜んでる…。嬉しいの?


あたしは、日悠の作ったシチューを一口、口に運んだ。

「…おいしい!!日悠君料理できるんだ!?」

「いや…普通に市販のルー使っただけだし…。」


いや…あたしの作ったシチューより断然おいしい!!


「でもおいしいよ!!」

あたしが笑顔で言うと、日悠は顔を赤くした。

「照れてるっ可愛い!!」

「黙れ。」