「拓海~今日の放課後ひまぁ??
久しぶりに遊ぼうよ♪」



そんなのイヤだ!!

拓海、お願い!
断って!!



「放課後??
ああ、いいよ。」


ガックリ……




あたしは小泉 つばさ。

拓海、山崎 拓海はあたしの彼氏。




…のはずなんだけど……。



「拓海♪帰ろうっ」


「ああ。」




拓海は今日みたいに、他の女の子からの誘いを断らない。



ってゆうか、断ってるのを見たことがない。









みんな(女の子)はあたしと拓海が付き合ってること知ってる。


最初は誘うのにためらってたけど、1回拓海がOKしてから急激に増えた。



だから、女の子たちはあたしと拓海が付き合ってることなんて頭の片隅に置いてあるのだろう。





あたしは、彼女になってすぐのころ、付き合っているのに他の女の子と普通に遊ぶ拓海が許せなくて体育館裏に呼んだ。



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「拓海!!
あたし達、付き合ってるんだよね??」



「ああ。」



「じゃあ、他の女の子と遊ぶの止めてくれない??
ずっとイヤだったんだけど、言えなくて…」









「なんで??」



「……へ??
なにが‘なんで’??」



「付き合ってたら、他の子と遊んだらダメなわけ??」



「ダメ……なんじゃないの??普通は…。」



「普通ってなに??
俺は、その‘普通’はやだ。

俺、縛られんのキライだから。」



縛られるのがキライ??


あたしは、束縛してるってことなの??



そんなつもりじゃないのに…


でも、あたしが告白してなんとなく付き合った拓海はあたしと別れてもどうでもいいんだ。



だから、あたしがこれ以上束縛(?)すれば別れ話になっちゃうかもしれない…



ってか、絶対なる。








「あ、そーなんだあ!!
束縛とかキライってこと??」


あたしはわざと明るく言った。


「うん。
束縛とかうざいだけ。」



うざい…………



「そ、そっかあ♪

じゃあ、あれかっ
うざい女とは付き合いたくない~みたいな??」



「ああ。
うざい女は完全拒否る。」






じゃあ……



せめて拓海の前ではうざくないようにしないとっ!!!




「だ、よね~♪
じゃあ放課後なのに、呼び出してごめんねっ
ばいばい」




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と、こんな事があったわけで……



「拓海、帰ろ~♪」


「ちょっと待て。
準備早すぎだろ。」


「だって拓海とのデートが楽しみなんだもん♪

ねえ、今日は手ぇ繋ご」


「ん。」



いいなあ。
あたしなんて、まだ1回もないよ。


手、繋いだこと。


あたし、彼女なのに!!







ああ、拓海が帰っちゃうよ…


声かければよかった

そう、後悔して拓海を見ていると……


パチッ

拓海と目があった。


「あっ」


「拓海ぃ♪
早く行くよ~っ」


行っちゃった……






彼女と遊ばないで、他の女の子と遊ぶ……


束縛がキライな拓海の彼女だから、しょうがないって思ってたけど……


正直キツいなあ…







窓から拓海と女の子が歩いているのが見えた。


他人が見たらカレカノに見えちゃうんだろうな……



「ちょっとー!!
あれっ、いいの!?」


「あ、友香。」


友香はあたしの親友。
高校に入ってから一番始めに出来た友達だ。
1,2年生が同じクラスだから余計に仲が良い。


もちろん、あたしと拓海が付き合ってることも知っていて、
片思いしてたときも、協力してくれた。



「も~そんなのんきな声出してっ!!
手ぇ繋いで帰ってるよ??」


「しょうがないよ。
拓海は束縛がキライなんだもん。」


「いやいや。
束縛がキライだからって、他の女と帰るなんておかしいでしょ。」



あたしも最初はそう思った。

でも怖いんだ。
イヤって言ったら、言われる気がする。


‘わかれる’の4文字を……