その声を聞いた2人の妹たちは眠たい目を擦る。



二女の楓。

見た目はヤンキーのような雰囲気だが,地元のケーキ屋さんでパティシエをしている。



楓の向かい側の部屋に,三女の柚子がいる。

柚子はドルフィントレーナーになるために今年の春,専門学校に入ったばかりだ。



先に朝の支度を終わらせた楓がリビングに入る。

「おはよー。」

「おはよう。
あっ,楓,今日姉ちゃん夜会議で遅くなるから,夕飯作ってもらえない?」

「うん。
いいよ。
適当に何か作るよ。」



柚子も準備を整え,部屋から出てきた。

「おはよう。」

「おはよー。」

「おはよう。」


普段より柚子の荷物が多いことに楓が気付いた。

「柚子ー,荷物多くない?」

「あぁ,今日ね,プール実習なの。」


柚子が通う専門学校は,フードクリエイト科・美容科・ドルフィントレーナー科の3コースがあり,全て3年制である。

柚子が所属しているドルフィントレーナー科は,1年生で学校内にあるプール,2年生で水族館で実習を行う。




この実習を柚子はとても楽しみにしている。