指先が滑らかに顔から、耳、首筋へと下りていく。


その仕草に…見つめる瞳に…


どんどん脈が乱れて…ヤバい。


そう思った瞬間、


―ドンッ…―


アイツの身体を思いっきり突き飛ばしてしまった。


予想外の出来事にアイツは体制を崩して、床に倒れ込んだ。


「………」


あれ?


反応が…ない。


倒れたままピクリとも動かない。


ちょっと待ってよ。


マジ??


「ねぇ…ちょっと大丈夫?」


恐る恐る近づいて、アイツの顔の前にしゃがむ。


「まさか…死んだの?」


目を隠していた髪を右手でそっとかきあげる。


え…?


「捕まえた」


絡まった視線のまま…腕を引っ張られた。