「知ってんだよ。涼」








俺は涼の顔色を伺いながら、静かに言った。




「え・・・・・そん、な」





涼の顔は見る見るうちに歪んでいく。










「だけど・・・・だけど俺は、」
「やだ!早く出てってよ!」







俺と涼の言葉が重なる。







俺は涼の言葉に耳を疑った。




「早く・・・出て行って!」








涼は俺の体をドンッと突き飛ばすと、顔を伏せた。




ベッドのシーツは、涼の涙で濡れていく。








「最後まで俺の話を聞け」





俺は涼の手首を掴むと、自分の方に向かせた。






涼の、長い髪が、サラサラと肩を伝う。





「嫌だ・・・・はやく帰ってよ!」





涼は涙を流しながら、肩を震わせながら、俺から目を逸らした。