しばらくそんなことを考えながら、リビングで浴衣に着替えていると、時計の針が目に入る。





時計の針は4時を差していた。






「やっべ」





俺は素早く浴衣に手を通す。






帯が締めれず、母さんを呼ぶ。







「うん、やっぱりうちの息子は黒が似合う!」






母さんは浴衣に着替えた俺を見ながら頷いた。










「じゃあ、行ってきます」







俺は玄関にある下駄を突っかけて母さんに言った。







「いってらしゃい、くれぐれも気をつけてね」




母さんは微笑むと、俺に5千円を握らせた。







玄関を出てバス停に向かって歩いていると、ポケットに入っている携帯が鳴った。





「もしもし・・・は?今?家出たところだけど」













「は!?」






俺は携帯に向かって叫んだ。







携帯を閉じ、バス停へと駆け足で急ぐ。







―“やーあのさ、みんな早い方がいいって言うから4時30分に集合で!”









ふざけんなよあの野郎!







俺は携帯を握り締めたままバス停に立っていた。






「~~早くこいよバス!」





俺は見えてこないバスに切れ、携帯の時計を見た。






―4時10分だ。







ようやくバスが着て、俺は急いでバスに乗り込んだ。