「エトワール、一つお願いがあるんだ」


あっという間に夜になり、宿に戻る直前、アーレイが言った。

長椅子に腰掛けていたエトワールは、何かしらと問い返す。

「俺に歌を歌ってくれないかな?とびきりのやつを」

エトワールは少し恥ずかしそうに俯いたが、すぐに笑みを浮かべて頷いた。何を歌おうかしら。



エトワールの赤い唇が紡いだのは、それはまた美しい、愛の歌だった。