アーレイが戦地へ旅立って暫く経ち、彼女のもとにアーレイからの手紙が届いた。

癖のある字で書かれた近況報告。

部下がネズミを敵襲と勘違いしたこと。王様が腕輪を褒めてくれたこと。

戦地という場所でも、アーレイは常に明るい方を見詰めていた。



――あの海の向こうで彼は戦っているのか。

早く戦が終わってほしい。早く、アーレイの姿が見たい。早く。

あの長くはない金髪を潮風に靡かせて、あの笑顔でエトワール、と呼んでほしい。


『私はここであなたを待ってるから――』

歌の一節を口ずさんだ。

悲しいほどに美しい、愛の歌の。