「待って



ごめんなさい、


今年も、あの丘に...」



そこまで言うと思い出したように彼女は

「すぐに準備しますね」


と言ってくれた。




すぐに車を表に準備した砂弥さんは部屋に戻ってきて



私を、
私の足である車椅子に乗せる




きっと自分と同じくらいの体重であろう私を


ふんっ、と力を入れて乗せてくれる。


最初は大丈夫だろうか、
と身構えていたけど

今となっては砂弥さんを信用しきっている


私の

ありがとう


を合図に部屋を出た



車はもちろん車椅子専用の大きいもの





まだ日差しが柔らかい


5月の朝



私は砂弥さんと

10回目の"そこ"に向かった