あー。

ついに本番だよ......

人.人.人......

私は手の平に人と書いて、何回も飲み込んだ。

それから

客はカボチャと思い込むようにした。

でも

やっぱり緊張するよー!

「七瀬。」

ん?誰?
振り向くと、櫻井先生が貴族の格好をして立っていた。

......先生、お似合いですね?

「はい。何ですか?」

櫻井先生は、ちょっとだけ微笑みながら

「頑張れよ。」

って言ってくれた。

......

笑顔初めて見ましたよ?
レアですね......



「あー!ずるい!ずるい!私にも言ってよー!」

亜希が、櫻井先生に飛び掛かる。

「橘!」

亜希......あんただけだよ。
櫻井先生に飛び掛かれるの......

「いやん!亜希って言ってよ?こーちゃん!」



えっ?
こーちゃん?

確か、櫻井先生の名前は晃樹だったよね。

晃樹のこーちゃん?

「あ......亜希!」
櫻井先生が、顔を赤くしてる。



えっ?
この二人......もしかして......

いや、まさか......ねぇ?

でも、気になる。

「あの、二人って......」

「えー。実はね......むぐっ!?」
亜希が何か言おうとしたんだけど、櫻井先生が口を塞いだ。

「何にもない!良いか?七瀬。何でもないからな!」

と言って、櫻井先生は口を塞いだまま、亜希を連れて行ってしまった。



うん。
絶対に怪しい......



それにしても、安東先生と智也は何処に言ったの?

さっきから、全然姿見えないんだけど。

もう少しで本番なのに......