ピンポーン......

インターホンを鳴らしてみても、やっぱりすぐには出てくれない......

まぁ、いつもの事だけど。


ガチャ。

暫くして、ドアが開いた。

でも、ほんの15cmだけ。



「先生。お話があるので中に入れて下さい。」

私は先生にそう頼んだけれど

先生は冷たい声で

「ダメ......」

とだけ言った。



......

「どうして......ですか?」
私は震える声で何とか、それだけは聞いた。



......

先生は黙っている。



お願い......何か言って?



暫くして、先生の重い口が開いた。

「七瀬......」

でも、その声は酷く冷たく......まるで別れの前みたいな......

私は、何となく嫌な感じがした......

そしてそれは、的中するのだった。



「もう......こういうのやめにしないか?」

えっ?

「お互いのプライベートに干渉するのは、もうやめよう。俺達は先生と生徒なんだ。学校でも、プライベートでも、教師と生徒として接していこう......」



そして、先生はそれだけ言うと、ドアを閉めてしまった。



一人残された私。

どうして?寒くはないのに、体中の震えが止まらない。

息が上手く出来ない......苦しい......



ポタッ。

地面に落ちた水滴......

それは、私の目から落ちた涙だった。

「う......っ......ひっく......」

どんなに止めようと思っても、涙はとめどなく溢れてきて

「うわぁーん......っ......」

私は暫く、そこで泣き崩れていた。



私と先生が、教師と生徒の関係だという事は、最初から分っていた事......

だったら、なんで私に優しくしたの?

こんなに好きにさせてから、突き放すぐらいなら、最初から優しくしないでよ......