遅いよ、遅い……連絡もない……もう12時を回っちゃったよ。



杏梨は雪哉が帰って来たらすぐ分かるように部屋のドアを少し開けていた。


杏梨はというと、ベッドに膝を抱えて座り、携帯電話を持って待っていた。



「何かあったとか……」



遅くなるんならメールの一つでもくれればいいのに。


自分から電話をかければいいのだろうがそれはなんとなく出来なかった。


自分は居候で雪哉の私生活に入り込むのは良くない。



一緒に住まなければゆきちゃんは聖人君子のような生活をしなくて済む。


あのルックスでお金も持っているから近づいてくる女の人は多いだろうし彼女もいるはず……。


彼女はわたしがここにいることをどう思っているんだろう。


ゆきちゃんはママに言われたとおり彼女をここに連れてこない。



座っている事に疲れて布団の上にごろんと横になった。


横になるとすぐに眠気に襲われ、杏梨はいつの間にか眠ってしまった。