とんっ…… アタシは扉の前に立っていたから、奏は片方の腕を扉につけて、アタシの真ん前にいる。 くいっ…… 顎をあげられた。 一瞬キスをされると思ったけど、違った。 奏はアタシの耳元で囁いた。 「言っただろ?…気にいったって。」 奏の吐息がアタシの耳にかかって、ゾクゾクした。 『だって…名前だって言ってないのに…』 「はぁ?制服見れば、ネームとネクタイで普通わかるだろ。」 そうだった。馬鹿だ…。アタシ。