そして結果。
「はいっ…集計も終わったようです。さぁ、優勝者は誰だ?!まず、3年から順に発表していきます」
「3年、高城朝馬236人。藍河貴子163人」
「2年、中谷颯302人。志田絹95人」
俺、去年より票が少ねぇ。
今年は意外に接戦だったのかもな。
「1年、風瀬夢遊205人。麻咲李衣193人」
ん?李衣も優勝じゃん。
カップルでとか初じゃね?
やべ…結構嬉しい…
「優勝者には、校長から賞状とトロフィーが渡され、1年間、この学校の宣伝や、パンフレットなどに、この学校の顔としてでてもらいます!!」
去年もしたな〜…女がうざくて嫌だったけど、今年は楽しくなりそ♪
好き勝手やらせてもらうぜ!!
学校の“顔"になってやるんだし、いいだろ(笑)
校長が、俺達に賞状とトロフィーを渡す。
お礼言って、一言。
「はい。また、優勝させて頂き、光栄です。ありがとうございます」
いつも通り、適当な挨拶。
何故か李衣が拍手してる(笑)
そして李衣。
「はっはい。なんか、あたしなんかでいいのかと思いますが、皆さんありがとうございます」
李衣は上擦った声で、言葉を紡いだ。
すると司会者が、
「お2人はカップルだそうで。カップルとして、この学校の顔となることに思いはありますか?」
意味わからねぇことほざきやがった。
「「は?」」
俺は比較的冷静だったけど、李衣がすげぇ慌ててる。
俺はしょうがなく、司会者からマイクを奪い、
「李衣とともに、こうして優勝できて、嬉しい限りです。カップルとして、優勝者として、この学校に貢献いたします」
スラッと一言言った。
なんかしんねぇけど、スラスラ言葉がでてきた。
李衣がいたからかもな。
いや、絶対そうだな♪
「では、優勝者、中谷くん、麻咲さんでした!!ありがとうございましたぁ〜」
「「「「「「わぁ〜〜!!!」」」」」」
よし、終わった!!
今日は俺んちで打ち上げでもすっか!!
琥桃も呼んで、李衣のダチも1人くらい連れていってやろう。
あのズボン投げ女でいいな(笑)
俺は打ち上げに向けて、想像を膨らませた。
「まっさっきち〜んっ♪」
「ぎょぇっ!!!」
首…首締まるんですけど、奈葉。
『松コン』も終わったし、颯と一緒に帰るつもりで、靴箱に向かっていた。
途中、この馬鹿と出会った。
今、首に腕を回され、軽く羽交い締めされている。
きついっす。
「や〜め〜て〜…」
あたしは必死に声を絞りだす。
「ぎゃはっ!!ごみんごみ〜ん!締まっちゃってたね♪」
にっこにこで、“ぎゃはっ!!"とか下品に笑う奈葉。
「ていうか、あたしになんか用?」
あたしが奈葉にそう言うと、
「はぁ?麻咲ちん、あたしに助けられたこと忘れたわけ??」
“ありえないっ"とかブツブツ呟いている。
ん?助けられたっけ?
あたしは記憶の引き出しを無理矢理開ける。
ん〜…ん〜…
あ…
「ズボン…のこと?」
あたしはあえて、首を傾げた。
「あったりまえっ!!普通気付くでしょー!あのピンチに、ズボンをとっさに投げる天使のような奈葉…もう最高!!」
自分で自分褒めて、楽しいんだ…
「うん…って…アレ、奈葉が勝手に取り入れた見せ場なんでしょ?!」
あたしは納得しそうになりながらも、重要なことに気付いた。
「う…そーだよ?いいじゃん♪結果、優勝だよ?超名誉じゃん!!」
む…こう言われると、言い返しにくいんだよね…
「………ありがとー奈葉。あたしの救世主」
「でっしょー?!流石奈葉だしー♪」
ムカッ
コイツの言い方ムカつくー!!
「でさー?それだけ?」
「は?」
感謝の言葉を述べましたけど?
「はーっ…麻咲ちんわかってないなー…」
ため息をつく奈葉。
意味わかんない。
「感謝は…言葉と、物でしょー!!奈・葉・は、見返りが欲しいのっ♪」
…悪女め。
そういうことだったのね…
あたしは深くため息をついた。
「何ため息ついてんの?!幸せ逃げちゃうよ?」
アンタもさっき、ついてたよー…
ツッコむのにも、疲れました(泣)
「で…?何して欲しいの?」
あたしの質問に、待ってましたと言わんばかりに顔をよせてきた奈葉。
近っ!
「颯様のお友達紹介して?」
キラッキラのおめめでそう言われた。
はぁ?
颯の友達??そんな人いるの?
「あれ?李衣だーっ待っててくれたの?」
あたしが颯に対して、失礼なことを思っていると、まさかの本人が現れた。
「?!はっ颯!!」
あたしが後ろを振り向くと、もう、最上級の笑みだった。
「キャーは・や・てさま〜♪」
うっわっ…目がハートですけど…奈葉。
「あっ…李衣の友達かな?これからも俺の李衣を、よろしくね?」
ズキューン
あれ?誰かうたれた??
「は…はい♪」
奈葉がハートを射抜れていた。
はぁ…無駄に王子振り撒くんだから。
「颯〜?はやいよ〜って、颯とはやいってちょっとダジャレじゃね?」
何だかよくわからない人が、ダジャレを言いながらやって来た。
誰?
でも、か・な・り可愛い…というか、男の子なの?
近付いてきたその人を見ると、あたしが見上げるくらいあった。
えぇっ?!普通に170あるでしょーっ!!
「アレ?君超可愛いね〜」
「はっはぁ…」
「俺と遊ばない?」
「はい?」
軽い…軽すぎる…
「琥桃?俺の彼女を何口説いてんの?」
優しい笑顔だけど、目が笑ってない颯。
キレてます…
それにしても、コモモって…この人に似合いすぎ。
「はー?颯の彼女この子?颯に勿体ないから、俺がもらってやるよ〜?」
「…………そんな必要ないから」
にこにこ笑いながら、コモモさんの脛をおもいっきり蹴った。
「!!!いっつ……そっそう?あはは〜」
可哀相…涙目だよ。脛とか…絶対泣き叫びたいよね…
「あっ!!俺、野仲琥桃!!颯とは、幼稚園からの腐れ縁?よろしく!!颯のことなら、なんでも聞いて♪」
あれ?めっちゃいい人じゃん!!
しかも、颯のいろんなこと知ってるのか…弱みとか聞いちゃお〜(笑)
「はい!!琥桃先輩ですね?あたし、麻咲李衣です」
あたしは琥桃先輩に、笑顔を向けた。
「………何この子〜!!超かわ〜い〜いっ!!ありえねぇっ!」
ガバッ
「んきゃぁ?///」
抱き着かれたぁあああっ!!
「ぅおいっ!!何してんだ!!馬鹿琥桃!!」
へ?
「うっわぁ?!」
颯が慌ててあたしと琥桃先輩を引き離した。
そしてあたしは、颯に閉じ込められた。
「はっ颯?!離してよっ!」
あたしはつい、恥ずかしくて離れようとする。
「ダメ…もうちょい」
甘い声で囁かれた。
「////ボンッ」
「は?李衣!?」
やっばー…赤いよね?あたし、今超赤いよねー?
チラリと琥桃先輩を見ると、ニヤケ顔。
「颯…素がでちゃうなんて…そーとー李衣ちゃんのこと好きなんだ…」
「……うっせ」
腕の中で、颯を見ようと上を向くと、
「見んな…今は」
そっぽを向いた頬が少し赤かった。
照れてる…可愛い……