「ねぇ…あなたなにもの?」
「ん?別に?普通の高校2年生」
あたし達は、普通に廊下を歩いている。
おかしいことと言えば、廊下の真ん中を歩くあたし達の両サイドに、女の子の行列ができていることだろう。
しかも、周りはキャーキャーうるさい。
「誰あの子」
「図々しい」
「離れろっつの」
…あたし、悪口言われてない?
あぁ〜…あたしは恐喝されているんですよ〜…
あたしの予想だと、目の前の男は、仮面カブリのクソプリンスですよ〜…
目を覚まして〜…
それにしてもこの男、謎だらけだわ…
校門を出ると、彼は急変した。
「おい李衣。おせぇぞ」
……は?何この態度。
「李衣っ!!」
「なぁにぃ?颯さまぁ?」
あたしの適当かつ、様付けで、彼の額に血管が浮き出た。
「てめぇ…俺をからかうとは、身の程知らずが」
「はい?あなたこそ、あたしを彼女にするなんて、馬鹿じゃないですか?」
「ぁあ?やんのか?」
「めんどいんで、やりません」
「李衣…お前…そこらの女とは違うな」
「当たり前。疾風くんの彼女だったんだもん。この地区でゆうめ…ぅむぐぅうーー!!」
疾風くんの説明中に口を手で塞がれた。
「わうぃううをー!!!」
(なにすんのー!!!)
叫んだ瞬間、離された手。
酸素を目一杯吸い込む。
あたしが涙目で睨むと、彼は、そっぽを向いた。
何コイツっ!!あたしの顔すら見たくないって言うわけっ?!?
「だってさ…」
何かを言おうとしてるみたいだけど、ボソボソ言ってて上手く聞き取れない。
「なぁにぃ??」
あたしは背伸びして、彼に近付いた。
「だぁーっ!だからっ李衣が…その…元カレの話するからだろ///」
そういい、プイッとあたしから顔を背ける、彼。
……何これ。
可愛すぎるんですけどー!!!!
「えっ?何なに?嫉妬?ヤキモチ?」
あたしが浮かれ気味にそういうと、
「そーですけど。何か?」
いじけた。
いまさっきの俺様毒舌エロモードから、今は甘甘超かわモード??
……このギャップ…最高。
ていうか、いまさっき彼女になりたてのあたしに嫉妬…??
なんでだろ?
まぁ、同じ『ハヤテ』でも全然違うんだな。
タイプは疾風くんだけど、付き合うなら彼って感じ。
あっ…そういえば、なんて呼べばいいんだろ…
「ねぇ…名前なんていうの?」
「は…?お前知らないの?俺の名前」
すっかり俺様毒舌エロモードに戻ってる。
「下しか知らないよ?」
「あぁ…女どもが、“颯様"とか言ってるかんな」
うんうん。あたしは頷く。
「中谷颯。高2の16。身長は182で血液型はAB型。クラスは2−A、誕生日は…いつか教えてやるよ」
身長デカッ!!!
あたしと20cmくらい違うし…
誕生日はいつかって…
やはり意地悪だ。
「で?颯くんでいいの?」
あたしの普通な問い掛けに、
「ぁあ?」
過剰反応する彼。
何か悪いこと言ったっけ…?
俺は、李衣を迎えに行った。
どこへ行っても騒がれる(泣)
教室を見つけ、
「李衣?迎えにきたよ?」
李衣を呼んだ。
間抜けな顔をする李衣に、はやくこいと目で合図。
すると、さっさとやってきた。
そして、廊下を歩いていると、
「ねぇ…あなたなにもの?」
いきなり聞きたいことを尋ねる李衣。
…確かに、俺のこと知らないんじゃぁ、しょうがねぇな。
「ん?別に?普通の高校2年生」
だか、コイツらに俺のプライベートをさらすわけには…
今、廊下の両サイドには女達の列がある。
キャーキャーキャーキャーうるせぇ〜
「誰あの子」
「図々しい」
「離れろっつの」
悪口かよ。小せぇ奴ら。
俺達は、校門を出た。
「おい李衣。おせぇぞ」
俺がそういうと、完璧無視する李衣。
ムカ…
「李衣っ!!」
「なぁにぃ?颯さまぁ?」
なっ!!コイツ…俺の神経逆なでしやがって…
「てめぇ…俺をからかうとは、身の程知らずが」
俺がそういうと、
「はい?あなたこそ、あたしを彼女にするなんて、馬鹿じゃないですか?」
すぐ言い返す。
「ぁあ?やんのか?」
こう言っても、
「めんどいんで、やりません」
さらりと受け流す。
コイツ…俺の今まで付き合った女と、全然違う。
別の生き物か??
素直にそれを伝えると、また“疾風"…
俺は聞きたくなくて、李衣の口を手で塞いだ。
叫ぶ李衣。
スッと手を離した。
手を離した瞬間、呼吸をととのえる李衣。
俺を、涙目で睨む。
理性を崩す気か?!
俺は、フイッと視線をそらす。
しかも…素直になっちまうみたいで…
「だってさ…」
ボソボソと語りだす俺の口。
「なぁにぃ??」
李衣は背伸びで、俺に近付く。
ちっかっ!!我慢ならねぇ!
「だぁーっ!だからっ李衣が…その…元カレの話するからだろ///」
チッ…なんて屈辱…ぜってぇいつか倍にして返す。
「えっ?何なに?嫉妬?ヤキモチ?」
あぁ?なんだよ!核心ついて…
「そーですけど。何か?」
もういい。俺はいじけた。
少し沈黙が流れる…しかも、李衣は何だかニヤケてるような…
「ねぇ…名前なんていうの?」
は?話変わりすぎだろ。
まぁ答えとかねぇとな。
「は…?お前知らないの?俺の名前」
「下しか知らないよ?」
「あぁ…女どもが、“颯様"とか言ってるかんな」
頷く李衣。
俺は、細かく自分を教えたが、誕生日だけは教えなかった。
なんとなく…意地悪。
「で?颯くんでいいの?」
李衣は普通にそう言った。
「ぁあ?」
颯…“くん"?
俺を元カレと同じ扱いしやがって…もう容赦しねぇ。
だいたい、『颯くん』なんてアイツと変わんねぇじゃねぇかよっ!!
ったく…俺、コイツに会ってから、ついつい口が滑っちまうみたいで、本音がでてしまう。
『嫉妬』と聞かれて『そーです』なんて、言ったことない。
この俺が、女に振り回されるなんて…
こんなの悔しいから、李衣には言わねぇけど。
いつかぜってぇ李衣を妬かせてやる。
…このまま負けっぱなしじゃ性にあわねぇ。
ぜってぇ芯から惚れさすかんなっ!!
「どうしたの?顔怖いよ?」
「当たり前だろ。てめぇ、俺を怒らせるのがだいっすきみたいだな」
……いつ怒らせたっけ?
「へ……?」
「しらばっくれんな。元カレと同じ呼び方なんて、俺を本気でからかってんだろ?!?」
いやいや全く。そんな気すらなかったよ。
「いや…年上は“くん付け"で呼ぶって決めてるんだもん」
あたしは正直に話した。
すると彼は目を丸くし、
「は…い?何だそれ。俺…超恥ずかしい奴じゃねぇかっ///」
赤くなった。
「え…と…颯くんが嫌なら、颯でいいよ??それとも中谷先輩??」
「えっ…中谷…先輩?///ばっかやめろっ!恥ずかしい…」
えぇー“先輩付け"が恥ずかしいなんて…可愛い(笑)
「颯だ。颯って呼べ。馬鹿」
さっきから馬鹿ばか言われまくってる気がするよ。