「死して尚、お前を愛すから」
「颯…ごめん、あたし古文は苦手で…」
「おい。お前、ナメてんのか?ナメてんだろ。まず、古文じゃねーだろ」
「へ?」
嘘。
本当はわかってるよ。
「あたしが死んでも、颯は愛し続けてくれるんだよね?」
「なっ…口に出すなよ…っつーか、わかってんじゃねーか。もういい。毎晩寝かさねぇし」
「えぇ?!」
でも、それもいいかなぁー
愛されてるってことだよね?
「なんかニヤけてて気持ちわりーぞ」
ムカつくとこもあるけど、やっぱりあたしは…
「颯…大好きだからねっ」
「…知ってるっつーの」
ぶっきらぼうにそう言う…君が。
「ねー颯、あたしのこと、大事にしてくれる?」
「…は?意味わかんねーし」
「日本語通じないわけー?」
「通じてるわ馬鹿」
「ねー」
「…」
「ねー「当たり前だろ」
うわっ…冗談で聞いたのに、真顔だし。
「で、なんだよ」
「は?」
「それ聞いてなんだよ」
「えー?ただ、確かめたかっただけだよ」
「何をだ?」
「ひみつ」
「ぁあ?んだそれ」
「颯っ子作りに励もうねっ」
「ブーッはっ?おまっ何言っちゃってんの?!」
「何焦ってんの?」
「いや、なんで今?」
「同棲するから」
「…っはぁー…」
あたしの肩を持って、俯いていた颯は、
「子作り…だっけか?」
呆れたような、でも何だか嬉しそうな、よくわからない表情をしてあたしを見据える。
「覚悟しとけよ」
そして、触れるだけの、でも…物凄く甘いキスをした。
「甘いよ、颯」
「うっせー馬鹿」
「やっぱ辛いかも」
「はぁ?」
今日も、甘辛ダーリンは…
「李衣。もっと激しいの…な?」
「なっ///」
絶好調みたいです…(汗)
END
遅くも早くも、颯と同棲して1週間経ってしまった。
「おはよう、2人とも」
「ん。李衣、飯」
「おはよ、りぃ姉。僕も」
「はいはい…」
順風満帆?な日々を送ってるあたし。
「はや兄、今日は早く帰って来てね?僕、はや兄と行きたいところがあるんだ」
「あ?いや、今日は…」
梓衣の言葉に、何故か言いにくそうに言葉を濁す颯。
そしてチラリとあたしを見る。
??
「いーからいーから、ね?」
梓衣はその可愛らしい顔をもっと可愛らしくして、颯にウインクした。
梓衣…誰よりも女の子だよ…
「……わかったわかった」
颯は梓衣の可愛さに負けたのか、渋々といった様子で呟いた。
「おい李衣」
「ん?なぁに?颯」
あたしが颯のほうを向いて首を傾げると、
「………はぁ…」
目の前でため息をつかれた。
「?!何でため息つくの?!」
話し掛けてきたのは颯のほうなのに!!
「お前、今日用事あるか?」
「??無…あ、奈葉が放課後どっかに着いてきて欲しいって言ってたかも」
…うー…うん。昨日誘われた…はず。
「…そうか。ま、早めに帰って来いよ」
「…?うん」
颯はそれだけ言って、ふわりと笑った。
早めにって…颯も梓衣と何処か行くんじゃ…?
「早く帰って来なさい!!」
疑問に思ってると、梓衣が腰に手を宛ててあたしにそう言ってきた。
「…(キュン)…梓衣…可愛いーーー♪」
ガバァッ
「ちょっりぃ姉!!」
あたしはたまらなくなって、梓衣に抱き着いた。
そして学校。
「ねーりぃりぃ、聞いてー…」
教室に着くと、病んだ顔した奈葉が近付いて来た。
あぁ、面倒臭い…
「何?」
「あのさー…こもちゃんってばさー…酷いんだよ?」
「あー…そうなの?」
「そーなの…奈葉のあげたブレス…なくしたんだよぉおいおいおい……(泣)」
嗚咽と訴えが混ざって、何か気持ち悪い声になってるし(笑)
「あーよしよし。奈葉、大丈夫。見つかるって!!」
「うぉーいおいおいおい…(泣)」
ガラガラガラッ
「なっ何スか!?サイレンスか!?」
「煩い、まー。んなわけないだろ」
「ちょっむゆー酷…って、あ!李衣!お早うっス!」
「麻咲、お早う」
「あぁ、磨緒に風瀬くん、お早う♪」
「てか何で磨緒がいるの?」
クラス別でしょ。
「李衣も酷っ!!いいじゃないスか!!友人に会いに来るのが、そんなにダメなんスかぁ!?(泣)」
あぁー…そっかそっか。
風瀬くんに着いて来たのか。
んで、あたし達に挨拶しに来てくれた訳ね。
「あは。来てくれてありがと、磨緒♪」
「……………李衣の為っスから。全然、てかむしろ俺が来たいっつーか…」
あたしがお礼を言うと、磨緒は口ごもりながらも何か嬉しそうだった。
ていうか、お礼なのかな…この場合(笑)
「まー、ごにょごにょ喋るな。…ふぁあぁ」
あれ?風瀬くん眠そう。
あ、いつも眠そうか。
「ったく、むゆーは夜早く寝るくせに朝弱いんスから…あ。チャイム鳴るかも…んじゃ、李衣…と…」
チラリとあたしの隣に突っ伏すやつを見る磨緒。
「小宮間 奈葉でぇーす♪よろぴー♪」
あぁ、まだ紹介してなかったっけ。
隣で陽気にピースする奈葉。
何かウザい(笑)
「んー…じゃ、なぁーちゃん!!ばいばいっス!!」
そして爽やかに、磨緒は出て行った。
「磨緒くんって、小動物系じゃなーい?あは。奈葉的には、こもちゃんのが小動物系だけど(笑)まぁこもちゃんは?小動物な部分とー?猛獣?的な部分がぁー…――」
「…………はっ!!」
暫くして我に帰ったあたしは、“なぁーちゃん”という言葉に違和感を覚える。
き、気色わるっ!!奈葉が…なぁーちゃんだなんて!!
もっと可愛いげのある子ならまだしも、奈葉になんて…!!…プフッ…(笑)
「……ちょっ…小宮間、…1人で延々と喋ってるよ…?」
あ、風瀬くんってば…優しいから奈葉に忠告してる…(笑)
「大丈夫大丈夫。奈葉はこんな奴だから」
「ま…麻咲、意外と適当なんだな…(笑)」
はは、と苦笑いする風瀬くんに、あたしも微妙に笑った。
そうこうしてるうちに先生が来て、HRが始まった。
あたしは窓側の席だから、窓から空を見上げてぼーっとしていた。
あ、そう言えば疾風くんと美代さん、元気でやってるかなぁ…
暫く連絡もしてないな。
結局疾風くんは、この学校から転任してったし。
「…ね…ぃり…」
…懐かしいなぁ。
けど、あんまり時間経ってないんだよね。
色々あったけど、やっぱり楽しかった…かも。
「りぃりぃってば!!」
「!!び、びっくりしたぁ…何」
はっと気づくと、奈葉があたしの顔の前で派手な顔をむっとさせていた。